~夜尿症について~
2015. 12. 1更新
夜寝ている間におもらしをすることを「おねしょ」と言います。
4~5歳までならば生理現象ですが、小学校入学後も月に数回以上「おねしょ」をする場合「夜尿症」と言って病気の範疇に入るでしょう。夜尿症は6歳頃では10%程度みられますが、12歳くらいになると数%程度になります。
つまり多くの場合、放っておいても成長とともになおるのですが、小学校高学年になってもなおっていないと、さまざまな場面で精神的なストレスになってしまいますね。
「夜尿症」の原因は、夜間の尿量と、膀胱の大きさのバランスにあります。つまり、夜間の尿が多かったり、膀胱の容量が小さかったりすると「夜尿症」が治らないわけです。
また、腎臓や膀胱、さらには中枢神経系などに病気がかくれている場合もまれにあります。夜尿症には、2つのタイプがあります。1つは「多尿型」と言って、1晩の尿量が約250cc以上ある場合を言います。
このタイプは、習慣的に水分摂取が多い場合や、抗利尿ホルモンという、尿を濃くして夜間尿量を少なくするホルモンが十分に分泌しない場合に起こります。
もう1つは「膀胱型」と言って、膀胱容量が小さいため、尿をためる力が弱い場合に起こります。「夜尿症」を早くなおすためには、まずご家庭で以下の注意をしてみてください。
- 夜中に起こさない(抗利尿ホルモンの分泌を促すため)。
- 水分摂取は朝・昼に多く、夕方からは控える。
- 夕食時の塩分の取り過ぎに注意する。
- 早寝、早起きの習慣をつける。夕食は早めに取るようにし、夕食から就寝までは2時間前後あける。
- 寝る前にゆっくり入浴して体を温めるなどの冷え対策をする。
- 就寝前には必ずトイレに行き、しっかり排尿する。
- おしっこのがまん訓練をする。
以上の生活改善だけで治らない場合は薬を用います。薬物療法としては、抗利尿ホルモン分泌を促進するデスモプレシン(ミニリンメルト®OD錠)が良いです。
また、抗コリン薬の追加で効果がみられる場合もあります。また最近は、アラーム療法という、パンツが濡れるとそれを検知してブザーが鳴ったり、振動したりする特殊な装置を付けたパンツを用いる方法があります。
これは音や振動で夜尿が起こった事を本人に認識させる治療法です。他には漢方薬などを用いることもあります。もし夜尿症で困っていたら、恥ずかしがらずにぜひ相談してください。