~動物アレルギー~
2018. 10. 1更新
動物の毛、羽毛、ふけ、唾液、糞尿(ふんにょう)などを原因とするアレルギーです。
[症状]
ネコ、イヌなどの毛、ふけによるアレルギー性鼻炎(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)、結膜炎(目のかゆみ、涙、充血)、気管支ぜんそく(喘鳴〈ぜんめい〉、呼吸困難)、じんましん、アトピー性皮膚炎が頻度の高い症状です。インコなどの小鳥の糞、尿、羽毛などによる過敏性肺臓炎(乾いたせき、運動時の呼吸困難など)を起こすこともあります。
[原因]
アレルギー性鼻炎、ぜんそくの患者様では室内で飼うネコ、マウス、ハムスター、モルモット、イヌなどの毛やふけ、マウス、ハムスターなどの尿が原因となることがあります。ウマ、ヒツジ、ウサギなどを飼育している場合にも、これらが原因のアレルギーを起こすことがあります。過敏性肺臓炎の原因は小鳥の糞、尿、羽毛などです。
[発症のしくみ]
鼻炎、結膜炎、ぜんそくなどのアトピー性疾患は、動物のふけなどの抗原に対するⅠ型アレルギー反応によって起こります。過敏性肺臓炎は、小鳥の糞などの抗原に対するⅢ型およびⅣ型アレルギー反応がおもなしくみと考えられています。
[診断]
動物を飼っている家にいて鼻炎、ぜんそく、皮膚炎などが発症し、悪化するようなら、動物アレルギーを疑います。アトピー性疾患では、血液検査でダニやカビに対するIgE抗体を測定することに加えて、動物へのIgE抗体を測定します。過敏性肺臓炎では血液検査で動物へのIgG抗体を測定します。
[予防][治療]
アトピー素因のある家庭ではネコ、ハムスターなどを室内で飼育するのを避けるようにします。動物アレルギーとわかったときは、その動物を手放すことが必要です。
どうしてもネコなどを手放せないときは、毎週必ず動物のからだを洗う、ネズミ類では尿が乾いて飛ばないように処理すると、ある程度の効果があります。ネズミ類に指をかまれただけでアナフィラキシーを起こすことがあるので、素手で触れるのは危険を伴います。鼻炎、ぜんそく、結膜炎などに対する薬物治療は、ほかの原因の場合と同様です。動物の成分にからだを慣れさせる減感作療法は基本的におこなわれておらず、ハチアレルギーの患者様に対して一部の医療機関でおこなわれているのみです。
過敏性肺臓炎の治療は原因抗原の除去と薬物療法ですが、呼吸困難が強く、入院による抗原との隔離でも改善しないときは、副腎皮質ステロイド薬などによる治療をおこないます。